中古の住まいを買ったあとに「暮らしに合わないから間取りを直したい」と感じる場面はよくあります。
ただ、間取り変更は「線を引けばできる工事」ではありません。プランを先に作り込みすぎると、あとから構造や設備の条件に当たり、補強や追加工事が増えて計画が振り出しに戻ることがあります。現場で止まりやすいのは、建物を支える要素(壁など)に触れるケースと、水回りの移動が配管条件で成立しないケースです。
見た目は内装でも、実際は耐震のバランス、配管・配線、場合によっては手続きまで一体で動きます。順番を誤ると「希望を削る」か「予算を足す」かの判断になりやすいのです。だからこそ、購入前に、難しくなる理由を先に拾っておけば、物件選びの段階で回避でき、計画も現実的になります。
そこで今回のお役立ちコラムでは、購入後に詰まりやすい代表例として耐力壁と給排水(配管)のNGを整理し、内見から契約判断までの進め方を現場目線でまとめました。
▼合わせて読みたい▼
仮住まいしない“住みながらリノベ”の進め方|工程とゾーニング
間取り変更が止まる原因は「支える要素」と「通す経路」

中古の間取り変更でつまずくのは、デザインの問題ではなく、見えない前提条件です。具体的には、建物を踏ん張らせる要素(耐力壁など)と、水回りを成立させる経路(給排水など)が外せないことです。ここを先に押さえるだけで、無理な案を避けやすくなり、判断スピードも上がります。
壁を動かす前に「その壁が効いているか」を確かめる
仕切りに見える壁でも、地震や風に対して建物を支える役目を持つ場合があります(耐力壁)この壁を外すと、耐震の考え方が崩れるため、梁・柱の補強や、別の場所で耐力を取り直す工事が必要になります。結果、費用と日数が増えやすくなるのです。
工法によって出方も変わります。2×4は壁が構造の中心になりやすく、開口を増やすほど設計の自由度が落ちがちです。軸組でも、筋かい・合板の位置次第で「触れない壁」が明確に出ます。
現場で危ないのは「一面を大きく開けたい」「柱間をまとめて飛ばしたい」「壁をまとめて減らして広げたい」といった発想です。
補強が増えるだけでなく、揺れ方が変わって建具調整や仕上げの割れなど、別の不具合が出ることもあります。
だからこそ、最初は「抜く」ではなく「見極める」ことが重要です。図面で柱や耐力要素の当たりを付け、現地で上下のつながりや壁量の偏りを確認します。そのうえで「壁を残して成立させる」「補強して成立させる」「プラン自体をずらす」の3案で整理するのです。
現地では、壁の直上直下に同じ位置の壁が重なっていないか、梁の向きと柱の並び、金物や筋かいの痕跡、合板の有無をセットで見ます。図面が無い物件ほど、天井点検口や床下点検口から「つながり」を拾うのが近道です。
水回りは「配管が通るか」より先に「成立条件」を揃える
水回りの移動は、設備を新しくする話より、床下で「どう接続するか」が本題です。ポイントは距離ではなく、高さ(落差)と接続先(既存ルート)です。ここが揃わないと、計画は成立しません。
落差が取りにくい配置にすると、床を上げる・段差が出る・建具が干渉する、といった影響が出てきます。とくにトイレは条件が厳しく、移動を欲張るほど難度が上がりやすいのです。さらに全体としては、換気の取り回しや電気の受け皿(分電盤容量など)給湯の能力まで見ないと、後から追加工事になりやすいのです。
現実的な進め方は「通せるルートから部屋を決める」ことです。「上下階の水回り位置を近づける」「集合住宅なら配管スペース付近を外さない」「点検できる経路を残す」といった考え方に寄せるほど成立しやすくなります。
床下が浅い住まい、点検口が無い住まいは、点検口の新設や部分解体が前提になることもあるため、最初から織り込むことで判断のぶれを防げるのです。
配管は通せても、点検できない経路になると将来の詰まりや漏水で壁や床を壊すリスクが上がります。梁を貫通できない位置、屋外配管が凍結や破損を受けやすい位置も要注意です。「通せる」ではなく「直せる」前提でルートを決めます。
▼合わせて読みたい▼
ハーフリノベーションとは?フルとの違い・費用相場・向いている人をプロが整理
購入判断で迷わないための段取り(集める→当てる→固める)

間取り変更を前提に中古を選ぶなら、順番が重要です。内見で材料を集め、専門家が当たりを付けて、必要なら追加調査と手続きも含めて計画を固めます。
内見で集める一次診断の材料(写真・図面・設備情報)
内見は「良し悪しの印象」ではなく、可否を決めるための材料集めです。最低限、次の3点が揃うと一次判定がしやすくなります。
- 間取りと設備位置が分かる資料(図面類)
- 位置と状態が分かる写真(遠景→近景→接写)
- 設備の受け皿が分かる情報(分電盤・給湯器・メーター等)
写真は、抜きたい壁の両面や床の沈み、そのほか天井のシミや床下点検口です。外周のひび割れやサッシ周りの結露跡などの撮影もしておきます。ひび割れは、定規も当てて幅も残しておくと判断しやすくなるのです。
同じ写真でも、距離感が分かるように「全景→中景→接写」の順で撮れば、後から説明を再現できます。メジャーや名刺を当てて大きさが分かるようにし、方位(どの面か)も一言メモしておくと、耐力壁の当たりや雨掛かりの仮説が立てやすくなるのです。
さらに、売主や仲介に「過去の雨漏り歴」「シロアリ点検や防蟻の履歴」「過去の増改築の有無」「給湯器の年式」「分電盤の容量」を確認し、内容を書面や写真で残します。口頭だけだと後で齟齬が出やすいからです。材料が揃うほど、耐力壁の疑い箇所と、水回りの「動かせる・動かしにくい」の線引きも早くなります。
あわせて、床下に潜れるか(点検口サイズと位置)、天井裏に覗けるか(点検口の有無)、分電盤の空き回路、給湯器の号数、メーター位置も撮っておくと設備更新の当たりが付きます。写真は“抜きたい壁の四隅+天井際”まで残すと後が楽です。
手続きと見積でつまずくポイント(建築確認・上限幅・相談先)

大規模な間取り変更では、工事内容と着手時期によって建築確認手続きが必要になる場合もあります。設計・申請・審査の期間も考え、引渡し後すぐに着工したいなら早めの段取りが必要です。
手続き面で見落としがちなのが、工事の規模によっては建築確認の扱いが変わる点です。国土交通省の整理では、2階建て木造戸建等で主要構造部の改修が一定規模を超える場合は、2025年4月以降に着手する工事が建築確認の対象になり得ると示されています。
水回りの入替えなど、従来どおり確認が不要とされる工事もありますが、確認が不要でも「基準に反する改修はできない」ため、適合性の確認は別途重要です。
見積もりは「一式」ではなく「解体範囲」「補強」「設備」「仮設」「申請の有無」が分かる内訳での比較が必要です。先に上限幅を決めておくといいでしょう。見積書の読み方が不安なら、住まいるダイヤルの「リフォームの見積書に関する相談」を活用してみてください。
ここは早い段階で「法的に確認が要る可能性がある工事か」を切り分けます。目安は、壁・床・屋根・階段など主要構造部の改修が広い範囲に及ぶかどうかです。判断は設計者や確認検査機関の領域なので、迷ったら“申請要否も含めて見積依頼”にして手戻りを防ぎます。
▼合わせて読みたい▼
補助金でお得に中古リノベ!対象条件と注意点をわかりやすく解説
よくある質問(FAQ)|中古住宅の間取り変更で迷いがちなポイント

中古住宅の間取り変更は、同じ「壁を動かす」「水回りを移す」でも、建物の工法や床下条件、既存設備の受け皿次第で難易度が大きく変わります。ここではご相談時に特に多い質問をまとめました。内見や見積比較の前に目を通しておくと、判断材料が揃い、手戻りを減らしやすくなります。
Q.中古戸建ての間取り変更は基本どこまでできる?
A.仕切り壁の移動はできる場合が多い一方、耐力壁や梁に関わると補強が前提になります。まず「触れる場所」を特定してからプラン化すると失敗しにくいです。
Q.耐力壁かどうか素人でも見分けられる?
A.断定は難しいですが、上下階で壁位置が揃う、天井際に太い梁が絡む、筋かい痕がある場合は要注意です。図面と現地の“つながり”で当たりを付けます。
Q.2×4は間取り変更が難しい?
A.壁で支える割合が高く、開口を増やすほど補強設計が必要になりやすい傾向です。できるかどうかは可能でも、コストと手間が増えやすい点が注意です。
Q.トイレやキッチンはどれくらい動かせる?
A.距離より「勾配」「接続先」「点検性」で決まります。床を上げずに成立する範囲に寄せるほど現実的です。
Q.点検口がない家はどうなる?
A.調査や配管更新のために点検口新設や部分解体が前提になることがあります。購入前に“点検できるか”を条件に入れると後悔が減ります。
Q.見積書で比較すべき項目は?
A.解体範囲、補強内容、設備更新、仮設、申請対応の有無が分かる内訳で揃えて比較します。「一式」中心の見積は、内容差が埋もれるので要注意です。
間取り変更で後悔しないために|購入判断前の整理はリノベ建築工房へ

中古住宅の間取り変更には、誰にでも当てはまる「制限の正解」があるわけではありません。ただし共通して言えるのは、壁や配管といった“見えない前提条件”を後回しにすると、計画が止まりやすくなるという点です。
耐力壁に触れる場合は補強や設計変更が必要になり、水回りの移動では配管の落差や接続先が成立しなければ、希望そのものを修正する判断になります。これらは購入後に発覚すると、予算を足すか、理想を削るかの二択になりがちです。
だからこそ重要なのが、購入前から「できること・難しいこと」を現実的に整理しておくことです。内見段階で写真や図面、設備情報を集め、専門家が構造と配管の当たりを付ければ、無理なプランを避けられます。
リノベ建築工房では、間取り変更の可否だけでなく、補強や手続きが必要になる理由、費用の上限幅まで含めて整理し、判断がぶれない材料を提示しています。
中古住宅の間取り変更を前提に検討している方は、ぜひリノベ建築工房にご相談ください。お問い合わせフォームからのお問い合わせはもちろん、メールや電話でのご相談、ショールームへの来店にも対応しています。
買ってから悩むのではなく、買う前に整理することで、納得できる住まいづくりにつながります。