リノベ建築工房 コラム

空き家相続の新しい選択肢|リノベーションで再生させるための段取りガイド

空き家相続の新しい選択肢|リノベーションで再生させるための段取りガイド

相続した空き家を前にしたとき、多くの方が最初に考えるのは「売るべきか、残すべきか」という悩みです。ですが、実際には選択肢はそれだけではありません。リノベーションによって家を再生し、住まいとして活かすことも、賃貸や店舗など新しい形での活用につなげることもできます。

とはいえ、相続した空き家は老朽化や手続きの複雑さが重なり「どこから手をつけたらいいのかわからない」という方がほとんどです。今回のお役立ちコラムでは、空き家を「負担」ではなく「資産」として再生させるための判断基準と段取りの流れを、わかりやすくお話していきます。

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空き家相続でまず整理すべき3つのポイント

空き家相続でまず整理すべき3つのポイント

空き家をリノベするか、売却するかを判断する前に、次の3点を確認しておくことが大切です。

  • 名義と相続手続きの状況
  • 建物の状態(劣化・構造・耐震性)
  • 土地と建物の活用可能性

この3つが整理できていると「何ができて、何が難しいのか」が見えてきます。各ポイントをくわしくチェックしていきましょう。

名義と相続手続きは済んでいるか

相続登記は2024年から原則義務化されました。未登記のままだと、売却もリノベーションの契約もできません。相続が完了しているか不安な場合は、司法書士か行政書士に相談するのがおすすめです。

建物はどの程度使用できる状態か

空き家は「見た目が綺麗でも内部が傷んでいる」ことがよくあります。

確認すべきポイントには以下のような項目があります。

  • 屋根の劣化
  • 外壁のひび
  • 雨漏りの跡
  • 床の傾き
  • シロアリの痕跡
  • 配管・設備の老朽化

現地調査で状態を把握することで、リノベに必要な費用の大きさが見えてきます。

土地の条件が活かせるか

たとえば、次のようなケースは「リノベ向き」とされます。

  • 駅や主要道路からのアクセスが良い
  • 住宅地としての需要が安定している
  • 建物は古いが構造体はしっかりしている

反対に、建物自体が大きく劣化していたり、立地が需要に合わない場合は売却も選択肢になります。

リノベーションと売却を比較する

空き家の活用方法は主に次の2つです。

選択肢メリット注意点
売却する早期に負担を解消できる市場価格によって左右される
リノベして活用する住む・貸すなど資産として活かせる建物の状態により費用に幅が出る

ただし、大事なのは「数字だけの比較」にしないことです。

  • 家族が住む家として再生する
  • 賃貸にして収益化する
  • 地域に開いた場所として活用する

同じ金額を使うとしても、未来の形によって「価値」は大きく変わります。

空き家をリノベする場合の費用目安

工事内容によって費用は異なりますが、目安としては次のように考えられます。

内容費用の目安
水まわり中心の部分リノベ300万〜800万円
断熱・間取り変更を含む全面リノベ800万〜2000万円前後
賃貸用に最低限整える場合200万〜500万円

ただし、耐震補強と配管交換は空き家再生では検討されやすい項目です。

リノベの判断は「建物調査」から始まる

リノベの判断は「建物調査」から始まる

空き家をリノベーションするかどうかを決める際に、もっとも重要になるのが建物の状態を正しく把握することです。ここで判断を誤ると「工事が始まってから追加費用が発生した」「想定よりも大掛かりな補修が必要だった」など、後悔につながるケースが少なくありません。

そのため、まずおこなうべきなのが専門家による建物調査(インスペクション)です。外観だけではわからない構造部分の状態を客観的に評価することで、リノベに必要な範囲と優先度が明確になります。

建物調査で確認できること

  • 基礎や柱の腐食やひび割れの有無
  • 屋根や外壁の劣化状況、雨漏りの可能性
  • 床下や天井裏に湿気やシロアリ被害がないか
  • 給排水管やガス管など設備系が再利用できる状態か
  • 耐震性能が現行基準とどの程度差があるか

とくに築30年以上の建物では、表面は問題なくても、内部の断熱材が結露していたり、配管が劣化していることが珍しくありません。調査結果は見積もりの土台となるため、調査を実施するかどうかで予算のブレ幅が大きく変わります。

目に見えない部分を「想像」ではなく「事実」で把握することが、空き家再生を成功させる最初の鍵です。

空き家リノベの基本的な段取り

空き家の再生は、思いついた順に動くのではなく、次のステップに沿って進めることで無駄なくスムーズに判断ができます。

  • 相続手続き・名義の整理
  • 建物の状態調査(インスペクション)
  • 予算と活用方法の方向性を決める
  • 設計と見積もり
  • 補助金の確認と申請準備
  • リノベーション工事
  • 引き渡し・活用開始

ここで重要なのは「方向性を決めるタイミング」です。建物調査をせずに費用だけで判断してしまうと、実現可能な範囲と理想のイメージにずれが生まれやすくなります。

進め方のポイント

  • 建物の状態に応じて優先順位をつける

(例)耐震補強 → 断熱 → 内装 → 設備の順で検討

  • 使い方が決まっていない段階でも、ラフ設計と概算見積もりは可能
  • 補助金は申請前に工事契約を結ぶと使えない場合があるため、調査と設計と並行して進める

とくに補助金は、自治体によって対象や条件が異なるため、早い段階で確認しておくほど有利です。

耐震改修、省エネ改修、子育て・高齢者支援など、目的に応じて使える制度が変わるため、設計段階で「補助金を前提にした計画」ができると、費用をおさえながら性能を向上させることができます。段取りが整理できていると、迷いは自然と減り、選ぶべき方向が見えてきます。

空き家をリノベして再生した活用事例とヒント

空き家をリノベして再生した活用事例とヒント

空き家リノベーションの魅力は、「ただ直す」のではなく、その家に新しいストーリーを与えられることです。ここでは、実際に多く選ばれている活用方法を例に、どのような可能性があるかをイメージできるようにまとめました。

①「実家を残したい」家族のための再生

相続した家をそのまま売却するのは気持ちがついていかない…というご相談はとても多いです。築年数が古くても、柱・梁を活かしたリノベーションによって、家族の思い出を引き継ぎながら、今の暮らしに合う間取りへと再生することができます。

例を挙げてみましょう。

  • 昔ながらの和室 → 採光を活かした広いリビングへ
  • 使っていなかった二間 → ワークスペース + 収納に再構成
  • 夏暑く冬寒い家 → 断熱・気密リフォームで快適に

「思い出があるからこそ手放しにくい家」は、再生する価値を持っています。

②「貸して収益化」する選択肢

空き家をそのままにしておくと固定資産税や維持管理費がかかりますが、リノベして賃貸にすれば資産として活かすことができます。最近は 古民家テイスト・木の質感を活かした賃貸物件 が若い層からとくに人気です。

賃貸で活用する場合のポイントをまとめておきます。

  • 水まわり + 壁天井の内装で 最低限のコストにおさえる
  • 立地に合わせて「ファミリー向け」「単身向け」「二拠点生活者向け」などターゲット設計をする
  • 需要があるエリアなら長期的な安定収入につながる

「売らずに活かす」という選択は、家を負担から価値へと転じる一手になります。

③「地域に開く場所」としての活用

カフェ、アトリエ、教室、小さな書店、シェアスペースなど、空き家は「人が集まる場所」に生まれ変わることがあります。

とくに知多半島周辺では、地域の暮らしに寄り添った使われ方が増えています。

  • 地元の食材を使うカフェ
  • 作家やクリエイターのアトリエ
  • 子育て世帯が集まる交流拠点

この活用は 「その家が地域の記憶として残り続ける」 という大きな価値を持ちます。

空き家リノベーションについてよくある質問(FAQ)

空き家の活用について考えはじめたとき、多くの方がつまずくポイントは似ています。ここでは、実際のご相談で多い質問をまとめました。「今の状態でできるのか」「どの程度まで手を加えられるのか」など、判断に役立つ視点としてご覧ください。

Q. 空き家は築年数が古くてもリノベできますか?

A. 可能です。ただし、建物の「骨組み」が活かせるかがポイントになります。築年数が古い住宅でも、柱や梁などの構造体がしっかりしている場合は、断熱性能の向上や間取りの変更によって、快適な住まいに再生することが可能です。

一方、基礎の腐食や大きな傾きが確認された場合は、補強工事を検討することになります。まずはインスペクションによって「活かせる部分」と「改善が必要な部分」を客観的に見極めることが大切です。

Q. 住みながら工事することはできますか?

A. 工事内容によって可能です。水まわりや内装の部分的なリノベーションであれば、生活を続けながら段階的に工事を進めることができます。一方、断熱や耐震をともなう全面リノベーションでは、家全体に工事が入るため、仮住まいが必要になるケースが多いです。どの程度の範囲で進めるかを決める際に、建物の状態と予算と暮らし方のバランスを相談しながら検討していきます。

Q. まずは何から相談すればよいですか?

A. 「売却と活用で迷っている」という段階からでも大丈夫です。空き家の活用は、いきなり工事内容を決める必要はありません。建物の状態、土地の条件、将来その家を誰がどのように使うかといった「方向性」を整理することが最初のステップです。

空き家リノベで迷っているならリノベ建築工房にご相談ください

空き家リノベで迷っているならリノベ建築工房にご相談ください

リノベ建築工房は、知多半島で53年間、住まいに向き合ってきた会社です。住まいは工事して終わりではなく、これからの生活を支える場所になります。だからこそ、見えない部分こそ丁寧に、手を抜かず正直であることを大切にしています。

空き家をどうするかは、すぐに決める必要はありません。建物の状態と、あなたの暮らし方や家族の想いを一緒に整理しながら、納得できる選択を見つけていきましょう。必要なのは「最初の一歩」だけです。どの段階からでもご相談いただけます。

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