ペットと暮らす家は、間取りや素材が少し変わるだけで暮らしの快適さが驚くほど向上します。犬や猫は人と違う動線で動き、においや音にも敏感です。だからこそ、ペット共生リノベでは、床材や収納、キャットウォークや飛び出し防止、におい対策など暮らしの一つ一つを見直すことが大切なのです。
今回のお役立ちコラムでは、ペットと人が同じ家で安心して過ごすための家づくりを、一般的に多く採用されている事例とともにお話していきます。
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犬と猫が安心して過ごせる住まいに必要な考え方

ペット共生リノベを考える際に、最初に理解しておきたいのが「犬と猫の行動特性」です。性格も動きも大きく違うため、家づくりにも違う視点が必要です。犬の場合は「地面の上を移動する動線」がおもで、足腰にやさしい床材や落ち着けるスペース、散歩帰りに使いやすい動線などが重要になります。
猫の場合は「上下移動のある立体動線」が必須で、高さのあるキャットステップ、隠れる場所や外が見える小窓などがあると安心します。また、どちらにも共通するのが「におい」「音」「温度差」「掃除のしやすさ」です。これらは人の生活にも直結するため、家族全員が快適に暮らせる空間設計につながります。
猫の幸福度が上がるキャットウォークと立体動線を考える
猫と暮らす家でとくに効果が高いのが、壁や天井を使った立体動線です。室内飼いの猫は運動不足になりやすく、上下移動のある環境を整えることでストレスが大幅に軽減されます。
キャットウォークは、リビングの壁面に沿って設置し、段差を付けたり窓際につなげると猫が自由に移動できます。キャットステップや猫棚を組み合わせることで、家の中に「自分だけの隠れ家」「高い安全な場所」をつくることが可能です。
また、キャットウォークを設計するときは、以下のポイントを意識すると猫の満足度が上がります。
- 人の目線が届く高さ
- 落下の危険がない位置
- 陽だまりに行ける動線
- 窓の外が見える位置
におい対策は素材と換気動線で可能になる
ペットとの暮らしで最も気になる悩みがにおいです。においの元は、トイレや体臭、布製品、湿気の滞留など多岐にわたります。ペット共生リノベでは「においを出さない素材」と「においを溜めない換気計画」がポイントになります。
におい対策として効果が高いのは次の素材です。
- 消臭効果のある機能壁材
- 珪藻土や漆喰などの左官材
- 調湿効果のある壁紙
- 空気が循環しやすい間取り
さらに、トイレ周辺は床材を水に強いものにしたり、掃除しやすい配置をとることでにおいの発生をおさえられます。換気はとても重要で、空気の流れを意識するだけでにおいは大きく変わります。ペットスペースの近くに換気扇を追加したり、リビングに大きめの窓を配置するなどの工夫が効果的です。
ペット専用スペースで生活動線を整える
ペットも「落ち着ける場所」を必要としています。専用スペースをつくるだけで、生活動線が劇的に整います。
人気の専用スペースは次の通りです。
- リビングの一角にある小さな個室
- ペットのごはんコーナー
- トイレ置き場を壁面に造作
- 玄関横のお散歩グッズ収納
- ケージを置くための凹みスペース
造作収納を使うことで生活感をおさえられ、見た目もすっきりした空間になります。
ペットとの暮らしで起きやすいストレスと住まいの課題

まず最初に、犬や猫と暮らす家庭で起こりやすい問題を整理します。これらの悩みは「仕方がないもの」ではなく、住まいの設計や素材選びで大幅に改善できるのです。
ペットと暮らす家庭では次のような悩みがよく出てきます。
- 犬がフローリングで滑り足腰を痛めないか心配
- 猫が高い所に登れずストレスを抱えている
- においがこもる
- 抜け毛が溜まりやすく掃除が大変
- 来客時に玄関に飛び出す
- 階段から落ちないか不安
- 留守番中の事故が怖い
- 爪痕や引っかきで壁が傷つく
これらの悩みは「生活のクセ」ではなく「家の構造や素材」が原因になっていることも多いです。そのため、ペット共生リノベは生活の質を整えるために非常に有効なのです。
玄関の飛び出し防止や来客時のストレス対策
安全面で重要になるのが玄関まわりです。犬や猫の飛び出しは事故につながるため、動線の工夫は欠かせません。
共生リノベでよく採用される方法は次の通りです。
- 玄関にペットゲートを設置
- 土間を広めにして「二重動線」をつくる
- 透明パーテーションで圧迫感を出さない仕切りを造作
- 玄関横にペット用品収納を設けお散歩動線を整える
これにより、来客時の興奮をおさえられ、飛び出しによる危険を防ぐことができます。また、猫の場合は宅配便の受け取り時に隙間から外へ出てしまうケースが多いため、玄関とリビングの間に扉を追加するだけでも大きな効果があります。
音に配慮した防音リノベで近隣トラブルを防ぐ
犬の鳴き声、猫の運動音はマンションではとくに気になるポイントです。防音対策を取り入れると、人もペットも安心して暮らせます。
効果的な防音リノベには次の方法があります。
- 吸音材を壁に入れる
- カーペット敷きで衝撃音を軽減
- 防音ドアで生活音が漏れにくい環境にする
- 家具配置を工夫し壁面の反響をおさえる
とくにマンションで多いのが「足音問題」です。犬の足音や猫のダッシュ音は階下に響きやすいので、床材を防音性能の高いものに変更するだけで生活がかなり快適になります。
滑りにくく安全な床材でペットの足腰を守る
ペット共生リノベで最も効果が大きいのが床材の見直しです。床が滑るだけで犬や猫のストレスは増え、ヘルニアや関節炎の原因にもなります。ここでは実際に採用が増えている床材についてお話していきます。
犬の足腰にやさしい床として選ばれているのは次の通りです。
- コルク床
- クッションフロア
- ノンワックスフローリング
- 滑りにくい加工のあるフロアタイル
どれも汚れに強く、掃除しやすいというメリットがあります。とくにフロアタイルはデザイン性が高く、木目や石目、タイル調など家全体の雰囲気を壊さずに採用できます。また、水に強い素材が多いため、犬の飲み水がこぼれてもシミになりにくいのも特徴です。
猫にとっては「走りやすい」「爪が滑らない」素材が適しています。フロアタイルやコルクはとくに人気で、爪による傷が目立ちにくく長持ちします。
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一般事例でわかるペット共生リノベの魅力
ここではよく採用されているリノベパターンを用いて「どんな家づくりをするとペットと人が快適に暮らせるか」を具体的に紹介します。
猫と暮らす家の事例
猫3匹と暮らす家庭では、キャットウォークをリビング全体に設置し、猫が自由に高い場所へ移動できる動線を確保。隠れられるボックスを壁面に造作し、ストレスなく過ごせる空間へ。また、窓際に設けた日向ぼっこスペースは猫の定位置に採用。
犬と暮らす家の事例
大型犬がいる家庭では、滑りにくい床材に変更し、水まわり(洗面室や玄関土間など)に足洗い場をつくるケースが多い。散歩帰りにすぐ洗える動線を整えることで、リビングが汚れにくくなり快適。玄関には二重動線を採用し飛び出し防止も強化。
多頭飼いの家の事例
猫2匹と犬1匹の家庭では、各ペットに「専用スペース」を設けることでケンカを防止。猫は高い位置へ、犬は落ち着ける低い位置へ。それぞれの性格に合わせた空間をつくることで、全員が安心して暮らせる家に変身。
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ペット共生リノベはどんな人におすすめ?

住まいの工夫が必要なのは「困ったときだけ」ではありません。違和感を小さく感じている段階でもリノベを検討する価値があります。
次のような方にとくにおすすめです。
- 犬がフローリングで滑りやすい
- 猫が退屈そう
- においが気になる
- 抜け毛の掃除をラクにしたい
- 多頭飼いでケンカが起こる
- もっと快適な暮らしを目指したい
一つでも当てはまるなら、家づくりの見直しによって日々のストレスは大きく減ります。
相談前に知っておくと役立つポイント
ペット共生リノベは、暮らしとペットの性格に合わせて計画するのが理想です。相談前に整理しておくと、打ち合わせがスムーズになります。
考えておきたいポイントは次の通りです。
- ペットの年齢
- 性格と活動量
- 困っていること
- 普段よくいる場所
- 家族の生活動線
- 改善したい優先順位
これらを共有することで、あなたに最適なプランを提案できます。
ペットとの共生リノベについてよくあるFAQ

ペット共生リノベを検討している方からよく寄せられる質問をまとめました。マンションでも可能なのか、キャットウォークの設置場所はどこが理想なのか、床材やにおい対策は何から始めるべきかなど、最初の一歩で迷いやすいポイントをわかりやすくまとめました。気になっている疑問を事前に解消することで、より安心してリノベ計画を進められます。
Q:マンションでもペット共生リノベはできますか
A:可能です。管理規約に合わせた防音対策や床材選びをおこなうことで安全な環境を整えられます。
Q:猫のキャットウォークはどこに設置するのが良いですか
A:猫が普段過ごすリビングに設置するのが一般的です。人の気配を感じられる高さに配置すると安心感が高まります。
Q:犬の床材リノベにはどれくらいの費用がかかりますか
A:部屋の広さや素材により異なりますが、一般的なリビングで数十万円程度が目安です。検討段階から見積もりをとって、事前に費用を確認しておくと安心です。
Q:においが気になる場合はどこから改善すべきですか
A:壁材の見直しと換気動線が効果的です。ペットスペースまわりの素材を変えるだけでも大きな違いが生まれます。
ペットと人が安心して暮らせる家づくりはリノベ建築工房へ

ペットと暮らす家づくりで本当に大切なのは、床材やキャットウォーク、防音対策といった単体の工事ではなく、「動線・素材・専用スペース」を一体でデザインすることだとリノベ建築工房は考えています。
犬や猫の年齢や性格、活動量、普段よくいる場所を丁寧にヒアリングし、滑りにくい床やにおいをためない素材選び、飛び出し防止の玄関まわり、近隣への配慮も含めた防音・防振計画までトータルでご提案します。ちょっとした違和感の段階で住まいを見直すことで、ペットのケガやストレスを防ぎ、人にとっても掃除がしやすく落ち着ける空間に変えていくことができます。
リノベ建築工房では、お問い合わせフォームからのご相談はもちろん、メールやお電話でのご質問、ショールームでのご相談も歓迎しています。
「うちの子にはどんな間取りや素材が合うだろう」
「この家でどこまでペット共生リノベができるだろう」
と感じたタイミングが、検討を始めるベストタイミングです。人もペットも安心して暮らせる住まいづくりを、一緒に具体的なプランにしていきましょう。