リノベ建築工房 コラム

“寒さ・暑さ”を一気に解決|窓+床壁天井の断熱リノベ設計術

“寒さ・暑さ”を一気に解決|窓+床壁天井の断熱リノベ設計術

冬の底冷え、夏のじっとりした暑さ。そのどちらも、原因の多くは家の断熱性能にあります。築年数の経った住宅では、壁や床の内部に断熱材が入っていなかったり、サッシの気密性が低かったりと、外気の影響を強く受けるつくりになっているケースがほとんどです。

リノベーションでは、そうした弱点を後から補うことが可能です。とくに「窓」と「床・壁・天井」の断熱を組み合わせることで、冷暖房効率が上がり、体感温度のムラがなくなります。

見た目のデザインを変えるだけでなく、暮らしそのものを快適にするのが「性能リノベ」の真骨頂。

今回のお役立ちコラムでは、断熱リノベの優先順位と各部位の特徴、そして費用バランスを踏まえた効果的な進め方を解説します。

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断熱リノベの基本と優先順位の考え方

断熱リノベの基本と優先順位の考え方

断熱リノベーションを考えるうえで重要なのは「どこから手を付けるか」を見極めることです。同じ家でも、窓まわりと床下では熱の逃げ方がまったく異なります。

一般的な木造住宅の場合、冬の熱損失の約6割が窓から、夏の熱侵入の約7割が窓からとされ、まず最初に改善すべき部位は明確です。そのうえで、床・壁・天井を順に補うと、家全体の温度が均一化され、冷暖房の効きが安定します。

断熱の目的は「室温を上げること」ではなく「外気に左右されない空間をつくること」です。そのために、体感差の大きい部分から順に手を入れていくのが効率的です。

熱の流出入を可視化する部位別割合

断熱の優先順位を決めるには、どこから熱が出入りしているかを知ることが第一歩です。

国土交通省のデータによると、冬の熱損失はおおむね

  • 窓・開口部:約58%
  • 壁:約18%
  • 床:約10%
  • 天井:約6%

といった割合です。

つまり、窓を改善するだけで家全体の断熱性能の半分以上が底上げされる計算になります。数値化する際に用いられるのが「UA値(外皮平均熱貫流率)」や「Q値(熱損失係数)」で、数値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。

こうした指標を把握しながら改修計画を立てると、感覚ではなくデータに基づいた判断ができます。

断熱改修の目的は温度の均一化

断熱性能を高める目的は、単に冬暖かく夏涼しいという快適さだけではありません。家の中の温度差をなくし、ヒートショックや結露を防ぐという健康面の効果もあります。

たとえば、リビングが20℃でも廊下や脱衣室が10℃しかない住宅では、体に大きな負担がかかります。

断熱リノベによって家全体の温度を均一にすることで、体感ストレスが減り、冷暖房の設定温度も安定するため、結果的に光熱費を10〜30%ほど削減できるケースもあります。

断熱とはエネルギーの使い方を変える設計であり、生活習慣そのものを快適に整える工事でもあります。

予算を分けるときの基本バランス

断熱リノベは「効果の大きい部分に投資する」のが原則です。予算配分の目安は、窓:6割、床・壁・天井:4割が一つの基準になります。理由は、窓の面積が広く、外気との温度差を直接受けやすいからです。

ただし、築年数や地域によっても最適配分は異なります。

寒冷地では床と壁の断熱を厚く、温暖地では窓と屋根を中心に強化する方が効果的です。限られた予算の中でも、部位ごとの温熱特性を理解して優先順位をつければ、全体の改修効果を最大化できます。

断熱リノベの本質は「広さよりも精度」です。少ない施工範囲でも、熱の通り道を断ち切る設計ができれば、体感温度は大きく変わります。

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部位別に見る断熱リノベの実務と効果

部位別に見る断熱リノベの実務と効果

断熱リノベーションの効果を最大限に引き出すためには、部位ごとの特性を理解することが欠かせません。同じ「断熱」といっても、窓と床、壁と天井では熱の伝わり方も工事の難易度も異なります。

ここでは、主要4部位である「窓」「床・壁」「天井(屋根)」に分けて、実際の施工方法と体感効果を整理します。どの部分から手をつけるかを決める判断材料として参考にしてください。

窓の断熱「最優先で効く」改修ポイント

家の断熱改修で最も効果が出やすいのが窓まわりです。熱の出入りが最も大きく、改善の効果がすぐに体感できるため、断熱リノベの第一歩は窓といわれます。

主な方法は三つ。

  1. 内窓(二重サッシ)を追加する:既存窓の内側に樹脂製サッシを取り付け、空気層を設ける方法。施工が簡単で1〜2時間で完了。
  2. 複層ガラスへ交換する:既存サッシを生かしてガラスのみを断熱仕様に変更。結露軽減にも効果的。
  3. サッシ自体を樹脂製に交換する:外気温の影響を大幅に減らすが、外壁の一部を解体する必要があるため費用はやや高め。

体感としては、冬場の窓際の冷気がなくなり、結露もほぼ発生しなくなります。
小規模住宅でも、窓断熱を施すだけで室温が2〜3℃上がるケースが多く報告されています。

床・壁の断熱「足元の冷え」と「熱の逃げ道」を防ぐ

床や壁の断熱は、窓の次に効果が高く、とくに冬場の底冷えを防ぐうえで重要です。施工方法は、床下から断熱材を貼る「床下断熱」、既存床を剥がして断熱材を敷き込む「床上断熱」の2種類があります。

リノベーションでは在宅施工が可能な床下断熱を選ぶケースが多く、グラスウールや発泡系断熱材(フェノールフォーム・ウレタンボードなど)が主に使用されます。

壁断熱は、柱と柱の間に断熱材を充填する「充填断熱」と、壁の外側から覆う「外張り断熱」の2方式。外張り断熱の方が性能は高いものの、外壁を一度撤去するため工期・費用が大きくなります。

室内からの施工では、内壁を一部撤去しながら吹付ウレタンで気密層を形成する方法が多く、室内温度のムラが改善され、エアコン設定温度を下げても快適に感じられるようになります。

天井・屋根断熱「夏の暑さ対策」の決め手

夏のリノベで後悔が多いのが「屋根・天井の断熱を後回しにした」ケースです。屋根は直射日光を受けるため、夏場には小屋裏の温度が60℃を超えることもあり、天井からの放熱で2階が極端に暑くなる原因になります。

これを防ぐためには、屋根裏に厚み200mm以上の断熱材を敷き込む、または吹付ウレタンを施工して隙間を完全に塞ぐ方法が効果的です。

断熱材の上に遮熱シートを併用すれば、屋根面で熱を反射し、冷房効率をさらに高められます。屋根を葺き替える場合は、外側から断熱層を追加する外断熱屋根も選択肢に入ります。

冬の保温効果に加え、夏の冷房効率が体感的に2〜3倍変わることもあり「2階の寝室が使いやすくなった」との声が多く聞かれます。室温の上昇を抑えることでエアコンの稼働時間が減り、年間の電気代を1〜2割ほど抑えられるケースも珍しくありません。

断熱リノベの費用対効果と最適組み合わせ

断熱リノベーションは、単体工事よりも組み合わせ方によって効果が大きく変わるのが特徴です。たとえば窓だけを交換するのと、窓+天井を同時に施工するのとでは、体感温度・冷暖房効率・光熱費削減率が大きく異なります。

どの部位にどれだけのコストをかけるかを整理しながら「暮らしに対してどんな変化が生まれるのか」を理解することが大切です。

ここでは、代表的な費用感と効果、そして制度面から見た最適なリノベ組み合わせを紹介します。

部位別の費用目安と省エネ効果

部位別の費用目安と省エネ効果

断熱改修の費用は建物規模と工法によって幅がありますが、一般的な木造住宅の目安は次の通りです。

  • 窓断熱:1か所あたり約3〜8万円(内窓設置)〜15万円前後(サッシ交換)
  • 床断熱:20〜40万円前後(床下施工/材料による差あり)
  • 壁断熱:40〜60万円(内張り・吹付・外張りで差)
  • 天井断熱:10〜20万円(天井裏からの吹込み施工が主流)

仮に家全体で窓+床+天井を組み合わせた場合、総額は100万円前後で施工可能なケースもあります。体感としては、冬の室温で+2〜4℃、夏は−3℃前後の違いを感じることが多く、冷暖房の設定温度を1〜2℃下げられる分、光熱費は年間10〜30%の削減が期待できます。
費用をかけた分だけ数字と体感で結果が見えるのが、断熱リノベの魅力です。

断熱の掛け算効果を狙う設計

断熱は「一か所を強く」よりも「面としてつなげる」方が効果的です。その理由は、熱は弱いところへ集中して逃げる性質があるからです。

たとえば窓だけを高断熱化しても、壁や天井の性能が低ければ、そこから熱が逃げ、体感温度は思ったほど上がりません。反対に、窓+床、窓+壁といった連続する面の補強を行うことで、家全体の保温ボックスとしての性能が格段に上がります。

設計段階で「断熱の連続性」を意識し、部位間の隙間を最小化することが、短工期・中予算で効果を最大化するポイントです。

また、内装リノベと同時に行うことで、解体や復旧コストを共有でき、同じ費用でも体感効果が倍増するケースもあります。

補助金・助成制度の活用

近年は国や自治体が断熱改修を積極的に後押ししています。2025年度も引き続き「先進的窓リノベ事業」や「子育てエコホーム支援事業」などの制度が継続予定です。

これらは窓・玄関ドア・外壁・床・天井といった部位を対象に、製品仕様と工事内容に応じて最大200万円近くの補助が受けられるケースもあります。

また、地方自治体では追加の上乗せ補助を設けるところもあり、申請のタイミングを合わせることで実質自己負担を半減できることもあります。補助金は年度予算制で先着順が多いため「春の申請に合わせて設計・見積りを前倒しする」など、スケジュール管理を意識することが成功の鍵です。

断熱リノベは、単なる快適化ではなく省エネ投資+補助金還元による長期メリットを得られる分野なので、初期費用を正しく把握し、制度を上手に活用すれば、暮らしと経済の両面で大きな効果を実感できます。

リノベ建築工房が提案する「体感温度が変わる断熱リノベ」相談をはじめよう

断熱リノベーションは、単なる快適性の向上にとどまらず、光熱費削減や健康面の改善にもつながる“暮らしの再設計”です。中でも、窓と床・壁・天井を一体的に断熱する設計は、費用対効果が高く、冷暖房の効率を劇的に改善します。たとえば窓断熱を行うだけで室温が2〜3℃上がり、結露の悩みも軽減。さらに床や天井まで施工を広げることで、家全体の温度ムラがなくなり、一年を通して快適な住空間を実現できます。

リノベ建築工房では、地域の気候特性や住宅の築年数に合わせて、最適な断熱計画をご提案しています。補助金制度の活用サポートも行っており、初期費用を抑えつつ長期的な省エネを実現可能です。「冬の底冷え」「夏の蒸し暑さ」を一気に解決したい方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォームからのご相談、メールやお電話でのご連絡、またはショールームでの実物体験も歓迎しています。専門スタッフが丁寧にヒアリングし、あなたの住まいに最適な断熱リノベをご提案いたします。

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